【太陽の聖堂】キャピトルリーフ国立公園【月の聖堂】

Torrey~Capitol Reef National Park
Capitol Reef National Park(キャピトルリーフ国立公園)
Temple of the Sun,Moon(太陽の聖堂、月の聖堂)
9/26~9/28 (129~131days)

9月26日。
朝から相も変わらず赤い色をした大地の中を走る。
キャピトルリーフ国立公園手前の町Torreyから16キロ、1時間程で公園入口へと到着。

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キャピトルリーフで見られる砂岩の崖やドームは、6500万年前から始まる地殻変動や長きに渡る風雨によって形成された、いわば地球の「しわ」だそうだ。
このしわは複雑に入り組み、現在でも道路を通すことができない障害となっている。
この巨大なしわを、初期の開拓者は「リーフ」と呼び、またドームや崖が米国国会議事堂(キャピトル)のように見えるが、名前の由来らしい。


道中では、遥か年下であろう人間によって名付けられた数千年以上前からあるオブジェがいくつかある。

Twin Rocks
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The Castle
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Chimney Rock
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キャピトルリーフ国立公園入り口のモニュメントからしばらくして、ビジターセンターのあるFruitaという小さな集落に辿り着く。
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Fruitaは末日聖徒イエス・キリスト教会の信者(モルモン教徒)が1880年代に作った村で、その当時に作られた学校等が残っている。
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現在も、この赤土の大地でフルーツ農家が1、2軒程度だが残っている。(歴史文化財的な意味合いでの運営と思われます。)
そしてこのFruitaから南へ8マイル(約13キロ)、一本道のScenic Drive(景観のよい道路)が通っており、Capitol Reef National Parkの名物となっている。
折角なので、その道を走ってみることにした。
ビジターセンターから走ること1キロ程で、無人の料金所が現れる。
自転車は通行料7ドル。カードに必要事項を記入して、お金と一緒にポストに投函するシステムだ。
自転車を止めてせこせことカードに記入してお金を用意して・・・なんてことをやっている間に車は全く静止もせずにびゅんびゅん通過していく。
僕が見た限り、お金を払っていたのは僕だけだった・・・が、何かトラブルがあっても嫌なのでもちろん支払った。

Scenic Driveに入った瞬間、異世界に入った気分になった。

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辺りは一面赤い色をした岩山。それ以外の色は、頭上にある空の青色のみの世界。
言葉面では今までと変わらないではないかと思われるだろうが、規模が段違いなのだ。
各岩壁から崩れた落石からして、以前見た岩山と比較してあまりにも大きい。

そして本来であればこのような荒涼とした風景を見ると、寂し気であったり孤独感であったり、少し落ち着いた印象を受けるはずである。

しかしここではそうした寂し気など微塵も感じず、大地の力強さというものを感じる。
更に言えば、巨大な岩山に囲まれているのに圧迫感など無く、開放感に溢れている。

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往復26キロと長くはないが、圧倒される風景であった。

4時間後、13時時頃にビジターセンターに戻り、水の確保をしてまた東へと進路を取る。

その道中にもいくつも見どころがある。
Petroglyph Panel
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これは西暦300年から1300年の間に、当時の原住民が歴史として残すために岩に描いたものとされている。
何か文字を書こう、絵を描こうという時に、僕なんかはノートやら紙切れやら手のひらサイズの物に書くだろう。
紙と岩の媒体の違いこそあれ、こんなにも巨大なものに書いてやろうなんて大きな発想は、もし当時に僕にがいても持たないだろうなぁと感心してしまった。
ちなみに当然今もなお風雨に曝されている訳で、ここ数十年の間でも岩が崩れて一部欠けてしまったりしているようだ。

Hickman Bridge
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Hickman Bridgeに至るまで、片道0.7マイル(1キロ程)のトレイルコースがある。
当然、ここでも自転車を止めてハイキングを楽しんだ。
道中ではCapitol DomeやPectol’s Pyramidと呼ばれる巨石を見ることができる。

Capitol Dome

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Pectol’s Pyramid
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そして公園出口から走ること16キロ、Caineville(村は滅びて何も存在していない。地名のみ残っている。)から、通常のハイウェイとは別れた北西へと通じる未舗装路がある。
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この道はCathedral Roadと言われる道で、Cathedral Valleyという谷に通じている。
冒頭でも少し触れたが地殻の「しわ」によって道路開発ができていない地帯で、それ故に地球の原風景というものを見ることができる場所なのだ。
僕はガイドブックでこのCathedral Valleyを見て、どうしても走りたかった場所だった。
全長は分からないが、僕の見たいTemple of the Sun,Moon(太陽の聖堂、月の聖堂)は入り口から24キロ先にある。

ビジターセンターで聞いたところ、「先週に激しい雨が降ったから、もしかしたら地面が砂状に柔らかくなっているかもしれない。職員は普段立ち寄らないからなんとも状況は分からないけど・・・水と食料だけは大量に持って行け」とは言われていた。

自転車旅行者もどうやら過去には数名いたようだ。
日本語でも英語でも検索してみたが、自転車で走行したと記載しているサイトはなかったため、そうとうマイナーな場所だろう。

時刻は17時。24キロなら2時間、日没までにはTemple of the Sun,Moonに着くだろうと高を括って出発する。
当然ダートなのだが、やはり雨の影響が大きいのだろう。乾かない内に通ったであろう車のタイヤ痕が凸凹状に乾いており、平らな道など一切ない。
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そして奥に行くにつれ、ほとんどが深い砂の道となりタイヤを取られてとても自転車など漕げない。坂道の連続。
自転車を降りて歩いている内に、あっという間に日没になってしまった。
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1時間でたった7キロ。これ以上は進めないため、この日は岩盤の上にテントを張った。

9月27日。
この日も相変わらず道は坂道と砂の連続。
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景色は砂漠と岩しか存在せず、日陰など一切ない。直射日光に晒されながら、前に進むしかない。
川の跡はあるが水は枯れ果て、生物は小さなトカゲとネズミ以外一切いない。
そして、完全な無音。風一つない。
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「無」の世界。風景で言えば開放感で溢れているはずなのに、圧迫感を感じる。人間の住める場所ではないと、自然から圧迫されているように感じる。

道中に2日間で車を5台、この道で見かけることになるのだが、その時はどこかホッとしたのを覚えている。
さらには水を分けてくれる車もあり、これには本当に勇気づけられた。

20キロ弱を走った先にある「Entering Cathedral Valley」の看板。
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出発した8時から3時間程経ったろうか、残り1マイルの看板が!
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必死で自転車を漕ぎ、時には砂にタイヤを取られて手で押して、ようよう辿り着いた。
Temple of the Sun
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Temple of the Moon
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辿り着いた時はもう「でっけぇなぁ・・・」という感想しかなかった。
疲労しているため、「ここの形がこう綺麗でこうこう・・・」なんて思考はなく、感覚でTemple of the Sun とMoonと回りの風景を感じる。
非常に清々しかった。
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ここからは来た道をまた戻ったのだけれども、道中はほとんど記憶にない。
4時間掛けてアスファルトの道に戻ってきた時に、心底ホッとしたことは鮮明に覚えている。
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この日はここから30キロ先のHanksvilleのRV Parkに投宿。
疲れが抜けきらず、今この記事を書いている日も含めて2泊してしまった。
明日以降は更に東、アーチズ国立公園へと向かうことになる。

コメント

  1. タイミング良く、アップしたばかりのブログ見られました!(^_^)v
    結構無謀な…無事に行ってこられて良かったですね。でっけーなぁー!って印象は素直に声に出たんでしょうね(^^;希望してた場所に行けたなら疲れも心地良いのでは。ユタ州はアメリカでは田舎と良く言ってますがそうなんですか?田舎と言うより昔からの手付かずの自然な風景なんですかね。
    あれ、壁画!?ですよね!凄い!!本物見てみたい!
    やっぱり自転車メンテしてください(^^;
    まだまだ長い旅なんですから。応援してますよ!皆にも店長は無事に何処そこ走ってるよー!と報告してますから(笑)あとはブログ見ろって言ってますよ(^ー^)

  2. 自然が大きすぎて、人の気配が無かったりすると、怖くなったりしない?

  3. 本日、ようやく自転車屋があるMoabという町に到着しました。
    無事チェーンを購入したので、緊急事態は回避できたかなと・・・
    タイヤも買わないといけないんですけどもっと大きい町じゃないと希望の物はなさそうです

  4. 怖くもあるし、それが心地よくもあるよね

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