マウントロブソン州立公園でトレッキング

Dunster~Jasper
Mount Robson Provincial Park(マウントロブソン州立公園)
7/30~8/1(71~73day)

Mount Robson(ロブソン山)
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標高3954メートル。カナディアンロッキー山脈の最高峰の山です。
プリンスジョージからカルガリー方面へ向かう観光客にとって、カナディアンロッキー山脈の入り口にもなります。
ロブソン山の周辺は州立公園になっており、最長で片道23キロのトレッキングを楽しむことができます。
トレッキングコース上にはキャンプ場が点在しており、宿泊することも可能です。
当然車はトレッキングコースには侵入禁止なのですが、自転車は7キロ地点までは持ち込むことができます。


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石田ゆうすけさんが著書「行かずに死ねるか!」の中で紹介されていたキャンプ場でしたので、是非とも行かなければ、ということで宿泊してきました。

以下本編。

7時起床。鶏が3時くらいから常に鳴いていた。
カーティスとボニーと朝食を一緒に食べる。
山盛りのパンケーキ、ベーコンエッグ、ポテト、コーヒー。
ボニーの料理は本当に美味しい。大味ではなく、日本に近い繊細さがある気がする。
残りのパンケーキとポテト、パンを袋に詰めて持たせてくれた。
準備をし、10時に出発。
2人は僕の姿が見えなくなるまで手を振ってくれた。
この日は曇り、風は追い風。サイクリングにはうってつけの天候。
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そしてこの日は50キロ先のMount Robson Provincial Park(ロブソン山州立公園)で泊まることにしているため、気持ちも楽だ。
坂道をだらだら登っていると、一台の車がスピードを落として並走してきた。
助手席から男が手を振っている。
「デイヴ!」
ちょうど近くにレストエリアがあったので、そこで車と自転車を止め、2日ぶりの再会を喜び合う。
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デイヴはプリンスジョージでウォームシャワーのホストの家にもう一泊し、この日はジャスパーまで車で送ってもらうという。
「デイヴ、インチキだな」
「はははっ、そう固いこと言うな。差し入れだよ」
コーラとチョコレートの差し入れ。
ハイウェイで僕に会うことを見越して購入してくれていたのだ。
彼も自転車旅行者なので、どんな差し入れが最適か心得ている。
軽くてエネルギーになる食料は何よりありがたい。
「ジャスパーまで先に行くけど、俺はペースが遅いからまた会いそうだな」
僕らはまたの再会を願い、握手を交わして別れた。
坂道が緩やかに続く。
そして何度目かの坂道を登り切ろうとした辺りで、目の前に大きな壁が現れた。
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マウントロブソンだ。

マウントロブソンの標高は3954メートル。
富士山(3776メートル)よりも高い山をこんなにも近い距離で見たのは初めてだ。
雲で頂上が隠れているため、全貌が見えない。
しかしそれが、余計にマウントロブソンの巨大さを引き立てており、圧倒される。

ビジターセンターには14時頃到着。
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駐車場は車でいっぱいで、当然ビジターセンターも人でごった返している。
列に並び、ようやく僕の番が来る。
「Kinney Lakeのキャンプ場で2泊したいんだけど」
「ちょっと待ってね・・・Kinney Lakeは今夜1泊はできるけど、明日は満席ね」
どうやらマウントロブソンは世界中の人に人気のスポットのようで、事前予約をするのが基本らしい。
※2日後に出会ったカナダ人に聞くと、2か月前に予約していたと言っていた。
「明日はトレッキングを楽しみたいからどうしても2泊したいんだけど・・・」
「そしたら今夜はKinney Lakeで1泊して、明日は4キロ先のWhitehornでキャンプするのはどうかしら?
自転車はKinney Lake以降は乗っていけないけれども」
「自転車盗られたりしない?」
「そんな話は聞いたことないけど、森林の中に隠して大丈夫よ」
順番待ちの観光客が多い中、丁寧に対応してもらった。
「普段は当日にキャンプ場を確保できないくらい混んでるのよ。今回も誰かがキャンセルしたから取れたのよ。あなた本当にラッキーね!」
※実際、2日後に会った日本人観光客の人はキャンプ場を取れず、日帰りハイクを強いられていたので本当にそうなのだろう。
何はともあれキャンプ場は確保できたので、7キロ先のキャンプ場を目指す。
石田ゆうすけさんは著書の中で、この7キロが急斜面でガレ場で非常に大変だった、と述べている。
7年間もの世界一周旅行を一冊の400ページ程の文庫本に収めなければならない中で、わざわざこのキャンプ場のことを書いていたのだから相当きついのだろう。

そう覚悟して自転車を漕ぎだす。

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自転車は僕の他にもマウンテンバイクを漕いでいる人は何人かいたが、荷物満載の自転車は僕だけだ。

他の観光客は、中には笑顔であいさつしてくれる人もいれば、奇怪な物を見るような眼で訝しんでいる人もいる。
慣れっこなので、あまり気にせずに先へ進む。

トレッキングコースなので坂道は自転車を降りて押していたが、それ以外は自転車を漕げないことはない。
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やはり本を書くとなれば多少誇張表現しているのだろう、とこの時点で思い始めていた。
桟橋を渡り、スピードメーターを見ると5キロ歩いている。残り2キロだ。
やっぱり大したことなかったな、と思っていたが甘かった。
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坂の角度が急斜面に変わり、地面は細かい石だらけ。
一つ登り終わっても坂は180度角度を変え、また次の坂が続く。
自転車を押しても足元が滑り、自転車ごと滑り落ちる。
再度腰を入れ、滑り落ちないように全体重を自転車に預けて前に進む。
自然と「ぐはっ。がはっ」という声が漏れる。
ここが本当にしんどかった。
へろへろになりながらも、何とかキャンプ場に着くことができた。
時間は17時。2時間も掛かってしまった。
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夕食を取り、翌日のトレッキングに備えてこの日は早めに就寝した。

7月31日。
6時起床。
トレッキングコースは最長で片道23キロ。
朝食を取ろうとバッグを開けると、ほとんどの食料のジップロックが齧られ、食料が食い荒らされていた。
キャンプ場にはフードロッカーがあったのだが、前日に気づかなかったので、テントから離れた場所に置いていたのだ。
バナナチップに至っては、ジップロックに満タンだったのがキレイさっぱりなくなっていた。

食料を新しいジップロックに詰め直さなければ。
まずこの作業に時間が掛かり、必要最低限な物をバックパックに詰め、自転車を隠す作業に更に時間が掛かった。
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結局キャンプ場を出発したのは8時過ぎ。
まずは川沿いを数十分歩き、コースは山の中へ。
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トレッキングというから遊歩道が整備された簡単な散歩だと思っていたが、とんでもない。
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地面が滑りやすい岩肌の箇所もあり、ランニングシューズの僕にはかなりしんどく感じた。
テントと寝袋と食料をバックパックで背負うことも普段慣れていないためか、4キロ先のWhitehornキャンプ場に着いた時にはくたくただった。
キャンプ場でテントと寝袋を下し、幾分か軽くなったバックパックを背負い再出発。
ここから道はさらに険しさを増し、標高もぐんぐんと上がっていく。
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天気は前日には雨だと聞いていたが、幸か不幸かカンカン照りでかなり暑い。
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暑いので水をガブガブ飲んですぐに空になるが、小川の水は綺麗で生水で飲んでも全く問題はなかった。
そんな苦労の甲斐あってか、景色は奥に行くに連れて美しさを増していく。
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Emperor Fallと呼ばれる巨大な滝に、エメラルド色の湖、Burg Lakeに流れ込む2つの巨大な氷河。
雲行きが悪くなってきたので奥に行くことを諦め、Burg Lakeを左に折れてメインのトレッキングから離れる。
このコースは標高を更に上げ、最終的には1930メートルを計測した。
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道は狭く、最終的にはコースすらどれなのか分からない砂利道に変わる。雨も少し降ってきた。
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それでも、一番高い所から見る眺めは最高で、左にはBurg Lake、右にはHargreaves Glacierという別の氷河を同時に望むことができた。
来た道を引き返し、Whitehornキャンプ場に帰ってきたのは17時。
往復9時間、31キロのトレッキング。
テントに入るとすぐに強い雨が降ってきたので、途中でコースを変えた判断は正しかった。
この日は夕食を取ると、20時には翌日朝まで起きることのない深い眠りに落ちた。

8月1日。
5時45分起床。
上半身、特に背中がもの凄く痛い。単独登山家といわれる人たちは凄い精神力と体力の持ち主なのだと実感する。

8時過ぎには7キロ下ったKinney Lakeキャンプ場に戻ってくる。
自転車を回収し、荷物を自転車の鞄に詰め直す。
日本人観光客の人と話をしながらパッキングしていたため、結局9時半頃にキャンプ場を発つ。
帰りは自転車に乗って下ることができたので、11時にはビジターセンターへと帰ってくることができた。
ビジターセンターのWifiを使ってこの日の目的地を考える。
次の大きな町であるジャスパーまでは85キロ。行けないこともないが、体が痛い。
手前のキャンプ場で泊まればいいか、と決めて昼食後、13時出発。
やはり自転車の方が僕には楽で、楽しい。
道は特に登ることなくフラット、もしくは下り坂。
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風景は入れ替わり立ち替わりで新しい山々が現れ、気持ちが良い。

17時頃、アルバータ州に到着。
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スピードメーターが電池切れになってしまったため気付かなかったが、どうやら結局80キロ近く走ってしまったらしい。
ここからすぐにJasper National Parkの料金所が現れる。
※ちなみにアルバータ州からは時間が1時間早くなります。
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入場料として10ドルを支払う。
※自転車旅行者はここでは必ず「1日でジャスパーを抜ける」と言うようにして下さい。
1日10ドル取られますので、下手に4日とかいうと40ドル取られます。
出口のチェックポイントはジャスパーの町から10キロ程先で、その先にチェックポイントはありませんので10ドルだけで大丈夫です。
ここからジャスパーの町まで長い渋滞が発生していた。
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どうやら先の橋が工事中で片側通行になっているようだ。
自転車なので路肩をすいすいと抜けていくが、5キロは渋滞が続いていた。
ジャスパーには19時20分到着。
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ロッキー山脈に囲まれ、素晴らしい景色の町。まるで小さい丘の上にぽつんと町があるよう。
しかし観光客が多く、ビジターセンターも19時で閉館しているため、どこで宿泊しようかしばらく狼狽える。
しばらく小さい道を走ると、見つかりにくそうな場所が見つかったため、こっそりと野宿させてもらう。
翌日以降は、遂に自転車旅行者憧れのハイウェイ、Icefield Park wayへと突入することになる。

コメント

  1. ロッキー山脈をまじかに見れるあなたはし・あ・わ・せ。
    苦労の末に見れるからなお一層綺麗に見れるのだろう。
    これからも旅行記楽しみにしています。

  2. マウントロブソン。ロッキー山脈!すっごいですね…!Σ( ̄□ ̄;)生で見たんですよね!はぁー…凄いしか言葉出ませんよ(^^;
    氷河も怖いくらいの迫りですね。
    風景がとにかくとにかく凄い\(^o^)/これはやはり、3年は旅しなきゃですね!世界の風景見られるんですから!あたしも(笑)
    頑張って下さいね。(^-^)v楽しみにしてますから!

  3. あっ…
    トレッキング…これもまた凄い(”;)よく歩きましたね!しかも道とは言えなさそうな所もありましたねぇ(-“”-;)筋肉痛は辛かったかもしれないけど達成感はハンパなかったのでは?♪
    自転車盗まれず良かったですね(^ー^)

  4. 一言に山と言っても、全て形が違って飽きることがありません。
    素晴らしい道です。
    これからも応援よろしくお願い致します!

  5. トレッキングは好きなのですが、荷物を背負うことに慣れていませんので、かなり疲れました・・・
    カルガリーでは自転車の鍵を新調しようと思っております。

  6. トレッキング好きだったんですか?知りませんでした(^^;まだ何ヵ月ですけど随分体力ついたんでしょうね!なんだかワイルドになりましたもんね!風邪とかひかないくらい元気そうですよねー!
    次はハンガリーですか?鍵、新しくするんですね!

  7. カルガリーでしたか…(^^;

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