Stewart~Telkwa 7月19日~7月22日 (60日目~63日目)

7月19日。
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8時15分起床。朝食後、9時半出発。
この日は来た道を64キロ走り、まずはMeziadin Junctionまで戻らなければならない。
ジャンクションからは、南に進路を取り、PrinceGeorgeを目指す。

Stewartに来た時は下り坂ばかりで帰りが大変だ、と思っていたが、帰り方面も意外と下り坂が多い。
しかし、何故か下り坂でもスピードに乗れない。タイヤが回らない、という感じか。
同じ道は走りたくないと思っていたが、見る角度が変わるせいか、風景を楽しむことができた。

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12時ちょうどにBear Glacierに到着。
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雄大な景色は何度見ても飽きることはない。
この日は平日だからか観光客は全くおらず、この景色を独り占めしながら昼食を取った。
ここからはほぼ上り坂のみ。
13時半にMeziadin Junctionに帰ってくる。
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ここからは南へと向かう。
周りの景色が全く見えない林道に変わる。
この2日間、雄大な景色を見てきたため感覚が麻痺しているのだろうか、全くもって面白くない。
はっきり言って、Meziadin Junction以降のCassiar Highwayは全く見どころがない退屈な道だ。
退屈で気持ちも乗らないというのもあったのだろうが、やはり足が回らない。
いくら前日40キロ弱しか走らなかったとはいえ登山だったわけだし、2週間自転車を漕ぎ続けているから疲労が溜まっているのだろう。

結局80キロ程走った18時頃、Brown Bear Rest Area(Brown Bear=グリズリー・ヒグマ)という停車場で動けなくなった。

本来はRest Areaでのキャンプは禁止なのだが、ここで一晩過ごすことにした。
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晩ご飯を作り、20時にはテントに潜り込む。
1時間程経った頃だろうか、バキバキっと樹を折るような音が聞こえる。
もしや、グリズリーか!?ブラックベアは何とかなっても、グリズリーに襲われたら十中八九、死あるのみ。
熊除けには音を立てるのが良いので、夜通しパソコンで音楽を流すことにした。
そして、疲れているからか僕はすぐに眠りに落ちた。
※今考えてみれば、音が聞こえた時点で撤収すべきだったのかもしれない。
テントの蚊帳越しに、首に何かが押し付けられる。首に風が当たり、フンフンとがうるさい。
熊だ。最悪だ。
はっきりしない意識の中、枕元に置いていたナイフとベアスプレーを手に取り、スプレーの安全装置を外す。
しばらくテントの中で待っていたが、音はなくなった。どうやら去っていったようだ。
ここでハッとなり、意識がはっきりする。時計を見ると深夜1時。
ベアスプレーを見ると安全装置は外れていなかった。
夢だったのか・・・?
それでも首の違和感は残っており、未だに夢だったのか、現実だったのかは定かではない。
ここまできたら開き直るしかない。僕は再度眠りに就いた。

7月20日。
5時45分起床。
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目が覚めた時、テントの蚊帳越しに白い乗用車がRest Areaに止まっているのを見て心底ホッとした。
無事に一夜を明かすことができた。本当に怖かった。
こんな所はさっさと立ち去ってしまいたい。さっさと朝食を済ませ、7時15分に出発。
道はこの日も深い林道で回りの景色は全く見えない。
カリブー注意の標識はよく見るが、熊注意は初めて見た。
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退屈だからか、ぼーっと考え事をしてしまう。
日本の料理が恋しい。蕎麦が食べたい。うどんが食べたい。天ぷらが食べたい・・・

出発した時間が早かったからか、14時半に120キロ先のKitwangaという小さな集落に到着。
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Buttle Hillという小さな丘が唯一の観光スポット。
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このButtle Hillの側を流れているSkeena Riverは、かつて集落間を繋ぐのに欠かせない航路だった。
そしてKitwanagaでは集落間での紛争が幾たびも起きており、1800年頃にはこのButtle Hillの上には砦が設けらていたとのこと。
小さい丘のため20分程で全て見終わり、キャンプ場に向かう。
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このKitwangaのキャンプ場は無料で開放されているので、ありがたく泊まらせてもらう。
隣にはスーパーマーケットもあるので、少し買い出しをしてテントの中で休憩。
しばらくすると外から「誰かおらんかー?」との声が。

テントから顔を出すと一台の乗用車が止まっている。
民族風のおばちゃんが甲子園の売り子よろしく、クーラーボックスを持って歩いている。
キャンプ場を巡る売り子なんぞ、初めて見た。
おばちゃんはこちらに気づき、近づいてきた。
しまったと思った時には遅かった。おばちゃんはマシンガンの様に話し始めた。

「わたしゃバンクーバーに子どもがおってな、この度孫が生まれたんや。やから旅費が必要なんや。兄ちゃんちょっと見てやこれ、サーモンの燻製やで!興味あるか!?」
「凄いなぁ、でも俺金無いから買えない・・・」
「ちょっと食ってみいさ、これ!」

おばちゃんからサーモンの燻製の欠片を手渡され、試食する。美味い。
「どうや?美味いやろ?」
「美味い。でもごめん、俺金が・・・」
「これはどうや!?サーモンの漬物やで!興味あるか!?」

僕は自転車に掛けていたカバーを取り除け、自転車をおばちゃんに見せた。
「ごめんよ、興味はあるんだけど俺自転車旅行者で金ないんだよ、本当ごめん」
「おー!兄ちゃん凄いな!このキャンプ場他に人おるか?」

あそこにキャンピングカーが止まってるよと教えると、おばちゃんはさっさとそっちの方へと向かっていった。
僕はテントの中にまた戻ったが、その後30分ほどおばちゃんのマシンガントークがテントの中からも聴くことができた。

7月21日。
6時45分起床。
近所のRVパークで水を補充させてもらい、8時半頃出発。
この日は晴天。暑い。
そしてKitwangaから走ること数分、Cassiar Highwayの終着点のジャンクションに辿り着く。
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ヒッチハイク禁止の看板。過去に何かあったのだろうか。
ここからは東に進路を取り、ハイウェイはYellow Head Highwayへと名前を変える。
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Yellow Head Highwayに入ってからは車通りが多くなり、路肩も広くなった。
しかし広くなったが故か、車は隙間を開けずに自転車の真横をびゅんびゅん通り過ぎていく。
40キロ走り、Hazeltonsに到着。Visiter CenterでWifiを接続し、ネット作業。
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2時間程ゆっくりして14時再出発。

道路脇には線路が通っている。
するといきなり電車が現れた。
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貨物列車なのだが、とてつもなく長い。先頭からお尻まで誇張抜きで500メートルくらいあった気がする。
町と町の距離が長いため、1回にできるだけの量を運ぶためだろうが、限度というものがある。

そして目の前には牧草地が広がり始める。
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アラスカを含め、北米で初めて牧草地を見た。
飼われているのは牛と馬。ニュージーランドを思い出させる風景だ。
しかし、熊出没地帯なのに、食べられたりしないのだろうか。
18時頃、Smithersという町に到着。
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予想以上に大きい。
マクドナルドやケンタッキー、なんとセブンイレブンまである。
この規模の町で野宿は不可能と判断し、町はずれのRVパークに。
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このRVパークはゴルフコースの中にテントを張ることができ、かなり気持ちよかった。
7月22日。
7時起床。
8時にスーパーマーケットに行き、食料の買い出し。
久しぶりの大型スーパーにテンションが上がり、ついつい買い過ぎてしまう。
11時に出発。
1時間もしない内に「Cyclist Welcome」の看板が。
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ふらっと立ち寄り掲示板を見ると、小さなキャビンを自転車旅行者に開放しているとのこと。
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中を除くとベッドがある!
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なんとWifiも、シャワーもランドリーもある。
時間は朝の11時半頃。雨も降ってきた。
僕は迷うことなく、このキャビンに宿泊することにした。
この後はネット三昧。ベッドの上でクッキーを貪り、自堕落な時間を過ごす。
極めつけは晩ご飯にうどん。朝の買い出しで我慢できずに購入していたのだ。
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日本での仕事の休日のような日を過ごし、完全に緊張感がなくなり、牙が抜けた狼状態。
翌日以降、進むことができるのだろうか・・・

コメント

  1. 記事がとても面白かった。
    英語が大阪弁で、おばちゃんと会話のやり取りしたんやね!面白い(≡^∇^≡)
    日本に帰って来るかい?
    蕎麦も天麩羅も和食もあるよ(^^)v

  2. 1日50Km~100kmを走るのに、自転車の総重量はどれ位何ですか?
    僕なら空自転車で10Kmでもしんどいのに。

  3. 日本に帰るにはもう少し頑張ってからにしてみます

  4. 自転車だけで18キロ、日本出発前の計測で荷物が25キロ程だったと思います。
    今は水が4.5リットル、食料等を積んでいるので、恐らく45キロ~50キロ程度かと思われます。

  5. おっきー、元気にしてる??
    ブログ楽しく読まさせてもらってます!
    自転車しんどいと思うけど、頑張ってね!
    しんどくなったら、すぐ日本帰ってきてなー(笑)

  6. まっきー!コメントありがとう!俺は元気です!
    まだまだもうちょい頑張ってから帰ろうと思うわ笑
    アジアはずっと先やけどまた情報教えてなー

  7. うどん美味しかったですか?吉牛も食べたいんですか?こっちに帰ってきたら思う存分食べてください!おごりますよ…(笑)
    なので、もう少し頑張って楽しんで下さい(^^)熊と自堕落な生活には気を付けて(^^;牧草地いいですねぇー。自転車はかなりの荷物にビックリです(*_*)あと、何処にでもマシンガントークおばちゃん居るんですね(笑)親近感わきます(^^;

  8. うどん、我ながら最高の出来でした。
    外国の人にもうどんは人気らしく、他の自転車旅行者と2夜を共にしたのですが、うどんを見てテンション上がっていました。
    森林は圧迫感があり、熊の件もあって緊張するのですが、牧草地は大変落ち着きます。

  9. アラスカから~~すごい

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