Tok~カナダ国境越え 15日目~17日目(6月4日~6月6日)

6月4日。
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Moon Lakeキャンプ場には食料を保管するためのフードロッカーがないため、テントから少し距離を置いて、防水袋を何重にも重ねて食料を保管しておいた。
今朝、それを回収しようとすると、すぐそばにムースの糞があってドキッとする。

フェアバンクスで二泊したとはいえ、かなり疲労が溜まっている。
この日は30km先の町、Tokで宿泊することにした。

 


Tokはカナダの国境への道程において、最後の町となる。ここでWi-fiの利用と、食料の確保をし、態勢を立て直す算段だ。

後日談になるが、道中出会ったドイツ人に「Alaska Highwayは別名 To 東京っていうんだよ」と教えてもらった。
どういうことだろうと調べると、このTokという町は別名Tokyo Campという名前があるそうです。
(英語版Wikipedia Tok、Alaskaの項目より)

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謎のサンタクロース号。サンタさんのテーマパークのようです。

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12時半頃に到着し、Visitor Centerへ。

「USドルからカナダドルへの両替は国境付近でできる?」と聞くも、「分からないわ、そんなことあなた調べておくべきよ」
と正論をぶっかけられる。その通りです。
Tokには銀行があり、そこで本来は両替できるそうだが、この日は土曜日なので閉まっているそうだ。

お金は何とかなるだろうと、Visitor Centerに併設されている図書館へ。
図書館はどこもほぼ確実にWi-fiが通じている。訪れる人も文化レベルが高いので、静かでゆっくり過ごすことができる。
1時間ほどネットを使用した後、この日の寝床を探す。しかし、TokのRVパークは非常に高い!
一番高いところではテントでも30ドルと言われた。
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結局、メイン通りから少し外れたRVパークに決めたが、ここも25ドルと少々割高だった。

僕はこの旅行に出掛けてから1度しか野宿していない。恐らく自転車旅行者としては異端だろう。
素泊まりのキャンプ場に対して15ドル前後の金を払うなんて馬鹿馬鹿しいという気持ちは当然ある。
それと同時に、野生動物に対する恐怖、すなわち死に対する恐怖から、少しでも人のいる正規のキャンプ場に泊まりたい、という気持ちが僕の中で共存している。

今は後者の方が強い。

 

寝床を決めた後も時間はたくさんあったので、土産屋を散策。
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仮面が大量に。
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給食の時間、牛乳を飲んでいる時に同級生に笑わされた女の子のお面。
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マーブル。アラスカではよくこういった鉱石がよく採れるようです。

6月5日。
このRVパークには朝食サービスがあったらしい。僕は自分の食料で朝食を食べていたが、昼食用してジュースとマフィンを頂く。

オフィスの女性と少し話をしたが、日本はやはり「地震」という印象らしい。アラスカでは2003年に大きな地震が一度あったくらい、だそう。
ちなみに日本に関しての話題で「地震」「長寿」というのがよく出る話。日本語でも非常に難しい話題です。

「Tokからカナダ国境まで、道はフラットよ」

とオフィスの女性を含め、人々は口を揃えて言っていたが、決してそんなことはない。短いアップダウンが延々と続く。

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それでも景色は変化を遂げ、右手に名前もない美しい湖、その後ろには緑の深い森、さらにその後ろには雪を湛えた鋭い山々を見る。
僕の持つ、カナダの印象に近い景色に変わってきたような気がする。
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道中には、アラスカの野生動物の生活を説明した絵画がいくつも置かれている。

TokからNorthwayジャンクションまでの100kmは一切店はない無補給道路。

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Northwayに一つだけある店のオーナーと思しき酔っ払いに話しかけられ、しばらく話をする。
英語だがなまりがきつく、一切何を言っているか分からない。また、顔も白人の特徴は一切見られない。

星野道夫氏は著作「旅をする木」の中で、その昔日本人の漁船が漂流し、アラスカに辿り着いた話に触れている。
星野氏はアラスカに住み、野生動物を撮影すると同時に、多くのエスキモーや先住民族と触れ合った。
その経験から、「アラスカ先住民族には日本人の血が混じっているのかもしれない」という旨のことを氏は述べている。
確かに彼も、アジア人に近い顔かもしれない。

彼曰く、アラスカの冬は10月に始まるそうだ。アラスカにおいて、春と夏の期間は非常に短い。

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店を後にし、この日はDeadman Lakeという、カナダ国境まで60キロ手前のキャンプ場に宿泊。
このキャンプ場は基本は無料。寄付を募り、自然とキャンプ場の保護に充てている。
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このキャンプ場では19時からミーティングとして、野生動物の詳しい話を40分程プレゼンテーションしてくれる。
この日はムースについてのミーティング。
ゆっくりと、分かりやすく話してくれるため、英語が分からない僕でもかなり理解することができた。
アラスカでは熊よりもムースによる事故が多いこと、毎年7000頭のムースが人間によって殺されていること、ムースは木の実が主食であること・・・等ムースの生態を詳しく知ることができた。

6月6日。
「このキャンプ場からカナダ国境はフラットだ、イージーさ」

決してそんなことはない。この日も短いアップダウンが延々と続く。
ちなみに地図上ではDeadman Lakeがカナダ国境に最も近い宿泊施設となっていたが、さらに30キロ程走った先に店やRVパークがあった。

カナダ国境から14キロ手前に最後のVisitor Centerがある。
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無料でコーヒーを提供してくれ、アラスカに関してのビデオを見せてくれる。
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このビジターセンターには世界地図があり、旅行者は自分の出身国の町にピンを挿している。
僕の前に日本人が一人、既にピンを挿していた。どうやら関西出身のようだ。

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Visitor Centerから14キロ、ついにアメリカ関税が見える。
僕は陸路での国境越えの経験はないし、海外旅行もあまりしたことがないため、出国入国手続きはあまり理解していない。
「とりあえず出国スタンプはいるだろう」と思い、アメリカ関税に立ち寄るが、ここでは何も手続きする必要はないらしい。
「ここから32キロ先のカナダのイミグレーションへ行け」とのことで自転車を走らす。

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入国審査を待たずして、もう既にカナダの領域。

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ここから道路表記は懐かしのキロメートル表記へと切り替わる。
「出国スタンプいらないっておかしくね?」「カナダ側で出国スタンプないって指摘されたらどうすりゃいいんだ・・・」
なんてドキドキイライラしながら2時間程走り、カナダのイミグレーションに辿り着く。
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質問を聞き取るのに時間が掛かり何度も聞き直したが、10分程でカナダ入国のハンコを押されあっさり入国許可。
「アメリカの出国スタンプっていらないの?」と聞いたが、どうやらいらないようだ。ホッとする。
※後日調べましたが、アメリカは出国スタンプがないのですね。知りませんでした。

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この日はカナダ国境を越えての最初の町、Beaver Creekに宿泊。
ちなみにカナダはアラスカよりも時間が1時間早い。国境という形の見えない線を越えただけで、時間が変わるなんて、なんだか変な気分。
ここからホワイトホースまで約400キロ程。4日程でたどり着けるだろうか。

コメント

  1. about18年back カナダに 行った時の景色思い出し懐かしい。秋田県など熊出没 気をつけて。 

  2. ユーコン河は景色というより、あの静寂が一番の魅力だと思います。
    静寂は写真ではお伝えできないのが残念ですが、最高でした。
    今日本では熊事件で大変らしいですね

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