Anchorageで今夜はブギーオン

Anchorage
5/21 (1days)
旅にトラブルは付き物だと言う。
僕もご多聞に漏れず、初日からトラブルに会いました。
僕はぼけーっと座っていただけなのですが、どうやら警察沙汰だったようです。
長い長いフライトを終えて、13時半にアンカレッジに到着し、自転車を組み立てて15時。
急ぐ必要もなかったが、とりあえず予約していた宿へ向かう。
目が明らかにラリっていた。気だるそうな雰囲気で、目の焦点が合っていない。
おぉ、これは外れの部屋を引いてしまった、と思いつつお互いに自己紹介をする。
「俺はアンドリューだ、Oi,Oi」
20~30歳。中肉中背、金髪のアメリカン。
「僕はナオ。よろしく」 (そのOi,Oiはなんだ・・・?)
「飯は一緒にどうだ?Oi,Oi」
もう食べていたが、断るのも悪いと思い、頂くことにする。
彼はコンバットナイフでピクルスを切り、ペットボトルのオレンジジュースをくれた。
悪い奴じゃないのかもしれない。
サンドウィッチを作り出したので、何か手伝おうとすると、「座っていろ。」という。
やっぱり悪い奴じゃなさそうだ。
サンドウィッチが完成。ツナサンドだ。
「チアーズ、Oi」
「え?」
「チアーズ、Oi」
どうやらお互いが持っているサンドウィッチをチューさせたいらしい。
「チアーズ、Oi」「チアーズ」
ハイタッチ。
全く会話がないまま、ピクルスやサンドウィッチを一口齧る度にチアーズとハイタッチが10回以上続く。
唐突に彼が「ブギーオン」という。
「ブギーオンってなに?」「ベリーイージー、Oi,Oi」
腕を掴まれ、「ブギーオン、ブギーオン」を繰り返しながら入口付近のソファーに連れていかれる。
(やばい、こいつホモだったのか?いざとなったら殴りかかれば・・・いや、コンバットナイフ持ってたぞ)
(初日に掘られるとは・・・なんて日だ)
と思っていたら、彼はドアを開けて僕を外に出し、内から鍵を掛けられた。
締め出された。
意味が分からずに硬直していると、ちょうど廊下に居合わせた女性の管理人が「どうしたの?」と声を掛けてくれた。
ものすごくガタイのいい女性だ。アメリカンレスリングのディーバにでもいそうなくらいだ。
「意味が分からないけど、ブギーオンって言われて中から鍵を掛けられたんだけど・・・」
というと、血相を変えて合鍵を持ってきて、怒鳴りながら部屋の中へ入っていった。
僕も部屋に入り、Oi野郎と僕の間に管理人が立ちふさがるような形になった。
「お前はドラッグかアルコールをやっている!今すぐこのホテルから出ていけ!」
Oi野郎「やつのパスポートが@*;・・・」と意味の分からないことを言っている。
「出ていけ!」
「まじで言ってんのか?俺は何も間違ったことはしてないOi」
「こいつはあなたに出ていけと言ったのか?」と管理人が僕に問いかけてきた。
「意味は分からないけど、ブギーオンと言われ、締め出された。」と僕。
「オーケー。下のオフィスで待っていて。」
と言われ、オフィスのソファーで座って待つ僕。
20分も経っただろうか。管理人が戻ってきた。
「ごめんね、彼が寝室の鍵を掛けて立てこもってるのよ。今警察を呼んだわ。」
どうやらかなりの大事になっているようだ。
Oi、いや、おい。荷物も自転車も奴が立てこもっている寝室に置きっぱなしだぞ。
変な復讐心で自転車でも壊されたらどうするんだ。
その後、不安を感じながら待っていると、さらに待つこと30分後。
管理人が降りてきて、ようやく警察が来て彼を連行していったようだ。
「アイムソーソーリ。ヒーイズクレイジー」と謝られる。
部屋に戻って自転車も荷物も確認したが、何も被害はなかった。
聞くところによると、ブギーオンという英語はないらしい。Bring OnかBring Outではないかとのこと。
それでも辞書で調べたけれど出ていけという意味にはならなそう。
僕の英語能力が低いので、彼と話をしていても聞き返すことが多かったので、もしかしたらそれに腹を立てて
このような行動をとったのかもしれない。
そう考えれば、僕にも非があったと思う。
しかし、その夜は彼が復讐のために深夜に窓をぶち破り、13日の金曜日のジェイソンのような凶行に及ぶのでは・・・
ということを考えていたらほとんど眠れなかった。
やっぱり許さん、あの野郎。